【タイトル】
学校での学びを、社会へ出てからの成功につなげるために【本文】
「学校での成績と、社会へ出てからの成功は別のことのようだ」(松沢哲郎氏) 天声人語3.23より チンパンジーがいた。名前はアイ、アキラ、マリ。性格も才能も、かなり異なる“3人”だった。京都大学霊長類研究所の不正経理問題で、懲戒解雇された元特別教授、松沢哲郎氏が著書『チンパンジーの心』に書いている。 賢いとされたのは、アイだった。実験で、物の名前を覚えるのがもっとも早かった。答えを間違えると、なぜ間違えたのかを自発的に学習した。アキラも別の意味で優秀だった。打たれ強く、間違えてもへこたれない。試行錯誤を自ら繰り返した。劣等生と呼ばれたのは、マリだった。不正解のブザーがブブーと鳴ると、もうそれだけで頭を抱え込む。これでは実験にならない。彼女は研究から外され、動物園へと移された。チンパンジーの話とはいえ切なくなる。人間はどうしてこうテストで点数をつけ、優劣を決めたがるのか。ときには順位付けが必要なのは分かるけど、困ったことに、私たちはそれがすべてと思いがちだ。物差しはほかにも幾つもあるのに。 卒業式の季節である。受験や就職がうまくいったという人は、おめでとう。努力が報われよかった。そうでなかった人もいるだろうが、知っておいてほしい。この社会、あなたを応援する人は、あなたの思っている以上にたくさんいる。 話を戻せば、落伍したマリは、その後、群れを率いるリーダー格になった。 松沢氏は記す。「ヒトと同様に、学校での成績と、社会へ出てからの成功は別のことのようだ」 彼女もまた、多くの応援団に励まされたか。 令和7年度の学校が始まりました。今日から教科の学習を始めた学級もあります。保護者会で、通知表についての手紙を配りましたが、学習の評価は、ワークテスト(カラーテスト)だけで評価しているのではなく、授業中の発言や活動の様子、ノートの記述や児童が作った作品など、様々な方法で行っています。また、評価とは、通知表の成績を付けるためだけでなく、児童の学習改善や教師の授業改善に役立てています。 松沢氏が言う「学校での成績と、社会へ出てからの成功は別のことのようだ」という話がありますが、このことについては1970年代に実証されており、「テストや学校の成績は、人生の成功を予測しない」という結果が出ています。学校は、子供たちに一生懸命に勉強を教え、テストでよい点を取らせることを頑張ってきましたが、それが人生の成功に必ずしもつながっていないとしたら、教師はどうしたらよいのかと、途方に暮れてしまいます。 これからの学校教育は、知識や技能をたくさん身に付けさせるだけでなく、知識や技能を活用する力を付けること。答えのない問題の答えを考えることができる資質や能力を身に付けることが重要となっています。保護者の皆様が学校公開にお越しの際は、先生方がどのような授業をしているか、どのように評価を行っているかを、ご覧ください。 もちろん、辰巳小学校では、「学校での学びを、社会へ出てからの成功につなげるものにする」ことを目指しています。 令和7年4月8日 校長 景山 賢治【添付ファイル】
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